センター長挨拶

研究成果の実用化を促進する産学連携モデルを提案します

 2021年4月から、第12代目のセンター長を仰せつかっております。先代の長谷川史彦先生は、2017年よりセンター長を、それ以前は長くNICHe専任の副センター長を務めてこられ、10年以上の長きにわたり、実質的にNICHeの運営を主導してこられた方です。まさにMr.NICHeと言える方であり、2021年1月には産学連携の地域貢献を讃えられ、河北文化賞を受賞しておられます。そのような余人をもって代え難い先代の後継は、容易に務められるものではありません。しかしながら、大野総長に後継センター長を指名された以上は、これまで3年間務めた工学研究科長としての知識、経験、人脈等をフル動員し、NICHeの運営を遅滞なくこなしていきたいと思います。NICHeの設立に尽力され、4代目センター長を務められた元工学研究科長の井口泰孝先生は、研究室の恩師でもあられますので、何やら深い縁を感じます。頑張れということでしょう。

 さて、改めて言うまでもありませんが、未来科学技術共同研究センター(NICHe:ニッチェ)は、大学の知的資源をもとに、社会の要請に応える新しい技術製品の実用化並びに新しい産業の創出を社会へ提案することを目指した産学連携組織です。産業界等外部との連携により、先端的かつ独創的な開発研究を行うことで、広く国内産業・地域産業の活性化に資することを目的に、1998年4月に設置されたものです。特に、2005年度に学内リエゾン機能を産学連携推進本部へ分離した後は、Planning & Management 強化を掲げ、中央省庁との連携を図るなど企画機能を充実し、全学から選ばれたトップ水準の各研究プロジェクトを開発企画部専任の教職員が強力に推進支援する研究組職として発展を続けてきています。

 本センターの活動拠点は、NICHe本館(2000年2月竣工)、末来情報産業研究館(2001年11月)、ハッチェリースクエア(2002年3月)、未来産業技術共同研究館(2010年3月)より構成されています。詳しくは本サイトの「アクセス・施設」のページをご覧ください。本センターの運営においては、入退室管理や情報ネットワーク管理などセキュリティを重視した大型の専用研究スペースの確保に加え、外部資金による正教員の採用を行なうなど柔軟な人事制度に特徴があります。また、毎年20億円を越える外部資金獲得・起業化などのプラニング機能、利益相反・安全保障などのコンプライアンス管理や適切な資金管理などの研究開発支援業務に精通した教職員を充実しています。

 本センターでは、実用化研究を推進する学内外研究者に研究専念の場を提供することによって、各研究者の高い潜在力を早期に発現させる人材育成、そして新たなライフスタイルを社会に提案する様々な研究開発成果を生み出しています。

 2015年12月には仙台市営地下鉄東西線が開業しました。本センターは青葉山駅に最も近い位置にあり、青葉山駅から地上に出ると真っ先に目に飛び込む一等地です。このようにロケーションに恵まれていますので、私たちが開発した新しい要素技術とシステムを一般市民に広く発信する使命が加わったことを感じています。2015年3月には仙台市地方創生特区(近未来技術実証特区)の認定を受けたことで規制緩和を要請しつつ、例えば自動運転バスなどによるキャンパス内移動のトライアル等、様々な要素技術の実用化を目指した近未来技術実証研究により積極的に取り組んでいきたいと思います。

 本センターは2018年4月に創立20周年を迎えました。大学の研究成果を市民の皆様にさらにわかり易く説明するために、開発した要素技術をもとに自らベンチャー起業を積極的に行い、そのベンチャーを着実に育成する新たなシステム作りに挑戦したいと考えています。

 私たちは、東北地域から生まれる新たなライフスタイルを産業界とともに世界に向けて提案していくことを目指しています。地域社会の活性化に貢献する新産業分野と雇用の創出、さらには各産業分野に不可欠な先進的な要素技術の開発に取り組んでまいります。今話題になっている次世代放射光施設は、NICHeからほど近い、本学新青葉山キャンパスの一角で2023年のファーストビームを目指して建設が進んでいます。同施設は、本学を含む「官民地域パートナーシップ」の下で学術研究や産業技術開発に利活用される予定になっています。NICHeは地の利を活かし、次世代放射光施設を介した産学地域連携をより活発に行っていきたいと思います。このことは、本学が「東北大ビジョン2030」の中で強く謳っている理念のひとつである「社会との共創」ともよく整合しますので、NICHeは次世代放射光施設の運用開始を契機として、社会連携を一層加速させます。

 今後とも皆様の一層のご理解とご支援をよろしくお願いいたします。

2021年4月
東北大学未来科学技術共同研究センター
センター長 長坂 徹也