歯科用インプラント治療は、失った歯の機能を回復し、自然な咀嚼を可能にする重要な医療技術です。スクリュー状に成型された酸化チタン(※1)製インプラント材を顎骨に埋入し、人工歯を固定します。このインプラント材には高い生体適合性が求められますが、細胞の付着や増殖を促進するには、表面の親水性を向上させる必要があります。
東北大学未来科学技術共同研究センターの高橋正好特任教授らは、オゾンナノバブル水を用いた歯科用インプラント材料の超親水化技術を開発しました。
本研究成果は、米国化学会の専門学術誌 Langmuir に2024年11月25日付でオンライン掲載されました。
※1. 酸化チタン
チタンが酸化された化学的に安定な素材です。チタンは比較的軽量でありながら、非常に強靭な特性を持つ金属であり、医療分野をはじめ幅広く利用されています。空気中にさらされると表面に酸化チタンの層が形成され、これが高い耐腐食性と生体適合性をもたらします。また、酸化チタンは光触媒効果を持ち、紫外線を照射すると活性種を生成し、表面の有機物を分解することが可能です。また水分子との結合性に優れた表面状態となります。この特性により、歯科用インプラント材の親水性化にも紫外線照射が有効です。ただし、インプラントは一般に複雑な形状をしているため、全ての表面に対して紫外線が均一に作用することが難しく、この点が実用上の課題となっています。
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