研究プロジェクトナノテクノロジー・材料

持続可能な社会に資する結晶材料・応用デバイスの開発 Development of crystals and application devices contributing to sustainable society

プロジェクト期間2021年4月1日~2026年3月31日
吉川 彰 教授 吉川 彰教授 Prof. Akira Yoshikawa

研究の概要

本プロジェクトの特徴として物理と化学、理学と工学の異分野融合が挙げられます。それを要素技術の上流(材料設計)から下流(デバイス開発)まで垂直統合した産学連携体制により、新規機能性結晶開発と社会実装を進めています。

現在は、シンチレータ、次世代パワー半導体、難加工性合金(線材・板材)、圧電材料等に注力しています。また、優れた特性を有するが既存法では合成が難しい、量産性に難がある結晶などは結晶作製法の開発も行っています。

研究の特色

単結晶開発の際には、光、放射線、圧力、熱等の外部からの刺激に対する応答の評価や、高精度な超音波計測技術による圧電特性の評価を行い、速やかにフィードバックする形でスクリーニングを行なっています。下流のデバイス側の要請を踏まえて上流の材料設計を行うことで、ユーザーに求められる特性の発現や向上をターゲットにしており、優れた特性を持つ結晶に関しては、実用化に適する産学連携体制を構築したり、必要に応じて研究室からスピンオフした複数の東北大発ベンチャー企業も活用したりすることにより、デバイス化、実機搭載等の社会実装活動にも主体的に関わる点も研究室の特徴です。

期待される成果・展開先

本プロジェクトでは常に実用化を念頭に研究開発を進めており、現在は①次世代パワー半導体の酸化ガリウム単結晶の高品質基板作製技術確立に向け、AI計算を用いた新規貴金属坩堝フリー結晶成長法の開発(文部科学省 革新的パワーエレクトロニクス創出基盤技術研究開発事業)、②貴金属坩堝フリーの革新的な単結晶作製法を用いた各種機能性単結晶の開発(NEDO脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム)、③小型・軽量でイメージング可能な位置有感型放射線検出器の開発(NEDO官民による若手研究者発掘支援事業)等を実施中です。

上記以外にも、④簡易非破壊測定に向けた革新的なn・γシンチレーション検出システムの開発(英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業)、⑤X線イメージングを飛躍させる超高解像度、高感度X線検出器の開発(地域復興実用化開発等促進事業)等を進めており、国内外の様々な企業と共に社会実装を進めています。

新素材で作製したマイクロエナジーハーベスタと発明者の桑野氏

(a)2インチサイズのCe:GAGG結晶 (b)Ce:GAGGシンチレータアレイ (c)Ce:GAGGシンチレータアレイを搭載したガンマキャッチャー (d)ガンマキャッチャー による放射線計測 (e)CoreHeating法 (f)Ir/Ir-40Rh flexible thermocouple (φ0.5mm) (g1)OCCC法の概念図 (g2)酸化ガリウム結晶