研究プロジェクトナノテクノロジー・材料

多様化するリスクに対応する革新技術の開発
―安全で持続可能な社会実現のために―
Innovative Technology Development for Diverse Risk Management
– Towards Safe and Sustainable Society –

プロジェクト期間2023年4月1日~2028年3月31日
渡邉 豊 教授 渡邉 豊教授 Prof. Yutaka Watanabe

研究の概要

本プロジェクトは、本研究グループが推進してきた多様な革新的技術開発を基盤として、リスクの認知と解析、リスク低減技術の開発、リスクの管理と伝達により総合的に安全・安心な社会の実現に貢献する事を目的としています。具体的には、企業ならびに行政機関との連携により、構造材料と使用環境の適合性に関わる複数のプロジェクト並びに過酷事故影響低減技術開発とその実装に関する複数のプロジェクトを並行して推進しております。

研究の特色

カーボンニュートラルに向けての革新的技術開発への社会的要請が高まる中、積極的にグリーンテクノロジーの開発に取組みます。炭酸ガス排出を極限的に低下させるアンモニア燃焼発電に関わる材料技術や、国家の基幹であるエネルギーの安定供給に向けて原子力発電設備の再稼働・供用期間延長における材料リスク課題に取組むと共に、長期的に不可欠なバックエンド技術としての放射性廃棄物処分や、過酷事故時の影響拡大防止設備や環境汚染抑制設備の開発・製品化を支援します。又、昨今問題が表面化してきている地下インフラや橋梁・道路等の社会基盤の経年劣化に関しては、実務を担う中小企業と連携し、リスク低減のための合理的保全の技術基盤整備と、革新的固有技術の開発支援を推進します。

期待される成果・展開先

  1. カーボンニュートラルに向けた新たなアンモニア燃焼技術開発に伴う発電設備に発生する新たな材料損傷機序の解明・評価を行うとともに、それを基盤とした対策技術をアンモニア燃焼発電設備に適用し、長期安定運用を実現いたします。
  2. カーボンニュートラル時代におけるエネルギーの長期安定供給に向けた原子力発電設備の再稼働、供用期間延長並びに火力発電設備の高経年化に伴う材料リスク評価・対策技術を高度化し、構造健全性・安全性並びに経済性に優れた発電設備を実現します。
  3. 原子炉の稼働並びに原子力エネルギーの活用に不可避な高レベル放射性廃棄物の処分における金属製オーバーパックの超長期耐久性評価手法を開発いたします。
  4. 過酷事故時の影響拡大防止設備や環境汚染抑制設備の革新的技術開発を推進し実装に供します。
  5. 地下インフラや橋梁・道路などの社会基盤の経年劣化によるリスク低減を目指し、中小企業の革新的固有技術の開発・実装支援を行います。
  6. OJTを通して、課題解決に必要な幅広い知識と深い専門知識を併せ持つ人材の育成を推進します。
K値減少下のSCCき裂進展評価試験用に開発された、柔剛性SCC試験装置(特許出願中)

K値減少下のSCCき裂進展評価試験用に開発された、柔剛性SCC試験装置(特許出願中)