研究プロジェクトナノテクノロジー・材料

界面分子エンジニアリング Molecular Interface Engineering

プロジェクト期間2023年4月1日~2028年3月31日
栗原 和枝 シニアリサーチフェロー 栗原 和枝シニアリサーチフェロー Senior Research Fellow Kazue Kurihara

研究の概要

表面力測定を基盤とし摩擦融合研究を推進し、世界最少量の超微量粘度計を開発し事業化するとともに、蓄電池の電極界面膜の評価に基づく実用蓄電池の開発に貢献するなど、当チームが有する世界トップのナノ界面評価技術の応用を進めてきました。本プロジェクトでは、界面分子エンジニアリングのための計測手法の高度化と、それに基づく技術開発を実施し、製品の形での社会実装や、産業界の技術課題解決に貢献します。

研究の特色

本プロジェクトでは、界面を含む技術課題の解決のために、世界トップのナノ界面評価技術を開発し、製品の形での社会実装や、産業界の技術課題解決に貢献しています。様々なナノ界面評価法を組み合わせ、実材料など巨視的な材料界面の特性を分子レベルで解明することが特色で、従来のナノスケール評価が実材料に届いていなかった状況を革新することをめざしています。中心手段は表面力測定で、当測定は直径数十ミクロンレベルのマクロ表面間の相互作用をナノメートルの距離分解能で測定できることからマクロとナノをつなぐ有効な手法です。主な対象は、環境・エネルギー課題の解決に重要な摩擦・潤滑現象並びに材料、そして蓄電池などです。

期待される成果・展開先

具体的な研究課題と期待される成果は次のようです。

  1. 超微量粘度計の開発・応用:超微量レオメータなどの技術開発、並びに応用分野の拡大 (バイオメディカル分野など) により、広範な利用を生み出し、従来粘度測定を諦めていた分野、想定していなかった分野での利用を進め、測定法にイノベーションをもたらします。
  2. 氷-ゴム間の摩擦の研究:世界唯一の-20℃以下温度で氷の測定ができる表面力・共振ずり測定装置を高度化し、氷-ゴム間の摩擦を支配する様々な要素を系統的に評価し、摩擦機構を解明します。共同研究によるMDシミュレーションと機械学習(慶應義塾大学)、マクロ摩擦の評価(リヨン大学)と合わせて、高性能冬タイヤの設計指針を提案し、企業と協力し、成果の冬タイヤへの実装を目指します。
  3. 界面評価技術に基づく電池の総合評価:企業の技術課題を解決する新規アプローチを、界面評価技術を基盤として用いて開発し、共同研究を通して蓄電池開発に貢献します。
宇宙機器のマルチスケールシミュレーション

界面分子エンジニアリング

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