研究プロジェクトナノテクノロジー・材料

インターコネクト・アドバンスト・テクノロジー(ICAT)共同研究プロジェクト Joint Research Project on Interconnect Advanced Technology

プロジェクト期間2024年4月1日~2029年3月31日
小池 淳一 特任教授 小池 淳一特任教授 Specially Appointed Prof. Junichi Koike

研究の概要

高速で動作する先端半導体デバイスにおいて、トランジスタに接続するインターコネクトは、微細化の進行に伴って電気抵抗と電流密度が急激に増大します。その結果、性能と信頼性の課題が発生しますが、利用可能な材料はまだ見出されていません。本プロジェクトは、性能と信頼性の要求仕様を満足できる新材料の開発と、新材料を用いたプロセス条件の開発を行うことで、2nmノード以降の新しい技術世代におけるインターコネクト関連の課題を解決することを目指しています。

研究の特色

先端半導体デバイスに使用されている材料や製造工程を知ることなしに、インターコネクトの課題も知ることができません。しかし、これらの情報は公開されることがないため、推測による課題設定をせざるを得ないのが現状です。本研究では、デバイスメーカーはもとよりサプライチェーンにある各メーカーとの共同研究を通じて課題を明確に把握し、タイムリーに解を提供することを可能としています。研究開発の背景にある学理は金属材料工学であり、熱力学計算によって材料の予備選定や反応挙動の予測を行い、実験によって確認します。さらに量子力学計算によって特性が予測できたり、得られた結果のメカニズム解明に役立てます。

期待される成果・展開先

先端半導体デバイスは、自動運転の実現や生成AIの進化など、私達の生活様式に大きな変革をもたらす基幹製品です。しかし、インターコネクトに関わる課題が次世代の半導体デバイス開発のボトルネックになっています。トランジスタに接続して信号を伝達するインターコネクトは、電界効果トランジスタが開発されて以来30年間はアルミニウム配線、その後現在に至るまで25年間は銅配線が利用されてきました。しかし、デバイスが微細化することによって銅本来の特性が得られなくなり、信頼性の課題も懸念されています。本研究で探索している新材料は、銅配線の課題を解決し、銅の次にくる配線材料として今後長期間利用されることを狙っています。得られる成果物は、新配線材料、新配線材料に関連する製造工程、および新配線材料を用いた先端半導体デバイスです。これらの成果を各会社が利用することで、新しい情報時代の到来に貢献できると期待しています。

250℃の加熱基板に対する新材料のリフロー埋込

250℃の加熱基板に対する新材料のリフロー埋込

従来のCu配線と新配線材料のエレクトロマイグレーション寿命の比較

従来のCu配線と新配線材料のエレクトロマイグレーション寿命の比較

膜厚の減少に伴う新配線材料の電気抵抗増加の様子

膜厚の減少に伴う新配線材料の電気抵抗増加の様子