非線形誘電率顕微鏡を用いた次々世代革新的パワーエレクトロニクス用材料・デバイス創出に資する評価技術の開発 Development of evaluation technology contributing to the creation of materials and devices for next-generation innovative power electronics using scanning nonlinear dielectric microscopy

研究の概要
研究代表者による我が国発の走査型非線形誘電率顕微鏡(SNDM)を核心技術として、革新的なパワー半導体および誘電体のナノ・原子スケール計測評価技術を開発すると共にそれらを駆使して高性能デバイスの実現に貢献します。
即ち、デバイスにおけるチャネル移動度の低下やしきい値不安定など信頼性低下の原因となる界面欠陥をナノ・原子スケールで評価可能とする等、我が国発の独自のナノスケール計測評価技術の創出・応用により、パワエレ分野における日本の産業競争力を確固たるものに致します。
研究の特色
ワイドギャップ半導体を用いた次世代・次々世代パワーデバイスデバイス評価は、これまでウェハの容量電圧(C-V)特性やデバイスの電気特性測定など主に空間分解能を持たないマクロスコピックな手法で行われてきました。これに対して本研究手法では、高品質な結晶成長のための結晶欠陥分布、不純物濃度制御技術のための活性化ドーパント分布、デバイスにおけるチャネル移動度の低下やしきい値不安定など信頼性低下の原因となる界面欠陥の密度分布やそれらの原子構造をナノ・原子スケールで評価可能です。またSNDMは誘電体計測においても世界最高の感度と分解能をもっており、ナノスケール分極分布等の詳細な解析が可能であるという他にはない特色をもっております。
期待される成果・展開先
研究が進展する事により、これまでにない我が国独自の超高感度・高機能・高空間分解能・高時間分解能を持つ半導体及び誘電体分析顕微鏡法が確立される結果、次世代パワー半導体材料・デバイス及び誘電体受動素子の研究開発が大幅に進捗し、この分野における我が国の主導権を確立できるようになります。
更に得られる研究成果はパワー半導体だけでなく、集積回路や通信用半導体・誘電体などの技術開発への貢献も可能でありBeyond 5G(6G)に向けて我が国の半導体産業が再び主導権を握り、誘電体産業においては現状の主導権を更に確固たるものにする技術基盤の一翼を担う事につながると予想されます。
その成果の主な展開先は、半導体産業、誘電体産業となりますが、プローブ顕微鏡等の評価・分析機器メーカにもおよび、産業応用のみならず我が国の学術にも貢献する事が大いに期待されます。

代表者が開発した走査型非線形誘電率顕微鏡システム

開発した原子分解能走査型非線形誘電率顕微鏡システム