研究プロジェクトナノテクノロジー・材料

新規金属積層造形技術開発とそれを核とした新材料・材料加工プロセスの創生 Development of new materials based on new metal additive manufacturing technology

プロジェクト期間2024年4月1日~2028年3月31日
千葉 晶彦 特任教授 千葉 晶彦特任教授 Specially Appointed Prof. Akihiko Chiba

研究の概要

本プロジェクトでは、金属粉末材料技術や粉末溶融凝固・粉末焼結プロセスの基礎学理の確立、超急速凝固現象を活用した新規材料開発に取り組みます。また、無欠陥造形を実現するためのIn-situモニタリングおよびフィードバック機構を備えた金属積層造形技術の開発を推進します。さらに、高精度・高品質な造形を可能にするマルチドットスキャン方式電子ビーム積層造形技術の高度化、高機能PREP金属粉末製造技術の開発を行います。

研究の特色

In-situモニタリング技術とフィードバック制御を融合し、金属積層造形プロセス中に発生する欠陥をリアルタイムで検知して即座に補正できる、無欠陥造形技術の確立を目指します。特に、マルチドットスキャン方式を導入した電子ビーム積層造形技術により、従来技術に比べ造形精度と生産性を飛躍的に向上させ、産業界への応用展開を加速します。さらに、未来技術として全自動化された金属積層造形技術の開発にも取り組みます。また、球形度が1に近くガス気孔を含まない金属粉末の製造を可能とする高機能PREP粉末製造技術を開発し、新材料開発を推進するとともに、地上での実用化を進め、月面や火星面などの宇宙環境への応用を視野に入れます。

期待される成果・展開先

提案するIn-situモニタリングおよびフィードバック制御技術の確立により、金属積層造形プロセスで発生する欠陥をリアルタイムで検知し即座に補正可能な無欠陥造形技術の実現が期待されます。これにより製品の信頼性が高まり、産業界での競争力向上に大きく寄与します。また、マルチドットスキャン方式を採用した電子ビーム積層造形技術は、造形精度の向上と同時に製造効率を高め、生産性を劇的に改善するとともに製造コストの大幅な低減を可能にします。さらに、高機能PREP粉末製造技術により、球形度が高くガス気孔のない高品質な金属粉末が製造可能となり、新材料開発や高度な部材製造への実用化を加速します。将来的には、全自動化された金属積層造形技術の確立を通じて、月面・火星面における造形技術への展開が期待できます。これらの技術革新により、関連市場の拡大だけでなく、材料科学や制御工学など広範な学術分野への波及効果も見込まれます。

電子ビームによる金属粉末の溶融池形成

電子ビームによる金属粉末の溶融池形成

計算熱流体解析によるメルトプール形成挙動

計算熱流体解析によるメルトプール形成挙動