産学連携モデルを提案します
未来科学技術共同研究センター（NICHe：ニッチェ）は、1998年4月に設置されましたが、そのミッションは、世界最先端をいく東北大学のシーズを活かし、社会の要請に応える新しい技術・製品の実用化並びに新しい産業の創出を社会へ提案することでした。この達成のために、本センターでは全学から選ばれたトップ水準の各研究プロジェクトを複数立ち上げ、開発企画部の専任教職員が研究プロジェクトリーダーと連携して強力にプロジェクトを推進する形で、産学連携による技術開発やその社会実装を実践しております。
産学連携は、現在ではどの大学・部局でも普通に行われていることですが、研究開発専念教員による産学連携プロジェクトの集合体ともいえるNICHeの体制はきわめてユニークな存在です。また、本センターの運営においては、入退室管理や情報ネットワーク管理などセキュリティを重視した専用研究スペースの確保や関連環境整備に加え、外部資金による柔軟な人事制度、さらには迅速な意思決定も特色です。また、外部資金獲得・起業化など実用化志向の研究開発の企画調整、利益相反・安全保障輸出管理の研究インテグリティ管理、資金管理などの研究開発支援体制も充実しています。
さて、本センターの研究プロジェクトですが、2022年度の再定義に基づき、2023年度から新たな制度のもとで推進しております。プロジェクトには、原則５年の研究開発（本格型）、その準備段階（予備型）、社会人再教育やリスキリングを目的とした人財育成（教育型）、本学の研究ステータス向上に資する学術活動（学術型）、その後の「大化け」を期待する挑戦（黎明型）の５タイプがあります。2025年度は、新旧あわせて21件のプロジェクトが進行中です。個別の詳細については、本資料の次ページ以降をご覧ください。
東北大学は、2024年11月に国際卓越研究大学の第一号に認定されました。「国際卓越研究大学」とは国際的に卓越した研究の展開及び経済社会に変化をもたらす研究成果の活用が見込まれる大学を国が認定し支援する新しい制度です。本センターとしても、設立趣旨に鑑み、卓越した先端研究を進めるとともに、研究成果の社会実装を推進するべく実効性および社会インパクトがより大きな研究を発展させたいと考えています。折しも、青葉山新キャンパスに建設された「3GeV高輝度放射光施設（ナノテラス）」において2024年4月からコアリションビームラインが本格運用され、さらに2025年3月からは共用ビームラインの運用が始まりました。このような時勢から、本学には広範な研究分野でのさらなる国際競争力の強化と研究成果の実装が社会から強く求められていくことは間違いありません。産学連携に特化した本センターに期待されている成果の達成は容易ではありませんが、センターの使命に立ち返り、実効性および社会インパクトがより大きな先端研究を発展させたいと考えています。
本センターは本学青葉山キャンパスの地下鉄（青葉山駅）の出入口のすぐ近くという絶好のロケーションにあり、東京駅からの所要時間も僅か２時間です。ナノテラスや学内部局へのアクセスにも大変便利で、広範な研究分野でのプロジェクト研究に物理的にも適していますので、是非利用して頂ければと思います。本センターへのご連絡・ご訪問をお待ち申し上げますと共に、今後とも皆様の一層のご理解とご支援をよろしくお願いいたします。
2025年4月