未来科学技術共同研究センターは、株式会社IHI、JFEスチール株式会社、一般財団法人日本海事協会、国立大学法人東京科学大学の4機関とコンソーシアムを結成し、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)から公募された「先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム」に対し、「燃料アンモニア貯槽・輸送設備のSCC(※1)可能性評価ツール開発」(以下、本研究)を共同提案し、2025年5月に採択され、このたび、NEDOからの業務委託の契約に至りました。
脱炭素社会実現に向けた全世界的な取り組みが加速する中、燃焼してもCO2を排出しないアンモニアは、国内のグリーン成長戦略において、火力発電燃料や船舶燃料としての利用が期待されており、燃料アンモニア貯槽・輸送設備の安全かつ合理的な運用が重要です。一方で、燃料アンモニアは貯蔵・輸送する際に液化されますが、液体アンモニア中では鋼材表面に応力腐食割れ(以下、SCC)が発生するリスクがあるため、合理的かつ実用的なリスク評価に基づいた検査と保全が必要です。そこで本研究では、液体アンモニア中での鋼のSCCメカニズムを解明し、それに基づいてSCC発生の可能性を簡便かつ的確に行うことができるプログラムを試作します。本研究完了後には、本研究で試作したプログラムについて広く関係者から意見を集約、フィードバックすることで、燃料アンモニア貯槽・輸送設備のリスクベースドメンテナンス(※2)の社会実装を促し、燃料アンモニアの利用拡大に貢献します。
(※1) Stress Corrosion Cracking:腐食環境下において、金属材料に引張応力が作用することで、材料に割れが生じる現象。
(※2) リスクベースドメンテナンス:リスクを基準にメンテナンス(検査、補修、更新など)を行う手法で、高リスク箇所に重点メンテナンスを実施し、全体のリスクレベルが許容範囲以下になるように計画されるメンテナンス。
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「先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム」について(こちらから)
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