研究紹介:「自動車工学・シミュレーション工学を活用した減災・防災に向けた研究」

次世代移動体システム研究会で実施している様々な研究プロジェクトのうち、今回は「自動車工学・シミュレーション工学を活用した減災・防災に向けた研究」を紹介いたします。

自動車工学・シミュレーション工学を活用した減災・防災に向けた研究
未来科学技術共同研究センター 准教授 山邉茂之

研究背景と目的
震災後、大きな余震が続く中、徒歩での避難が原則だが、自動車を用いて逃げてしまうケースが非常に多かった。これは、徒歩より早いという先入観などからと推察される。しかしながら、実際には渋滞などで引き起こし安全な場所に避難できない可能性が高くなる。そこで、現実的には難しい“車による避難訓練”を仮想空間で行うことで、ドライバへの情報提供のあり方、避難しやすい避難路の整備の検討など、得られた知見を今後地震が起きる可能性がある地域にも提供することにより、減災・防災に繋げることを目的としています。

特色
提案する“車による避難訓練”には、実社会でやるには制限がある。そこで、仮想空間内を運転できるドライビングシミュレータを活用することで、同じシチュエーションを大勢の方に体験してもらうことが可能となる。本装置は150インチの高精細なリアプロジェクション方式の表示装置と6軸電動動揺装置、実車体をフルボディで備えたドライビングシミュレータとなっています。

期待される効果
震災からの東北復興につながる研究開発の推進を目指し、運転中に地震が起きた際のドライバ行動分析を行い、避難誘導方法の検討や復興のための避難路整備の事前検討、これらをITS(高度道路交通システム)と関連付ける研究が期待されます。さらには、減災・防災に限らず、次世代自動車の研究と産業の育成につながる研究開発にも貢献します。